EVE ONLINE プレイ日記02_チュートリアル後編
前回からの続きです。
チュートリアルのネタバレになりますので、折り返します。
前編はこちら。
ワープで滲んだ世界が、輪郭を取り戻す。
ステーションはひたすらデカイ。海の中でクジラを見つけたとき、きっとこんな気持になるのだろう、と考えて、
『クジラってなんだっけ?』
と、首をかしげる。
もしかすると私は、海洋惑星に行ったことがあり、その記憶が戻りつつあるのかもしれないなという思考は、入港許可と、オーラさんの通信に打ち消される。
『え? それは、感謝しろってこと?』
何気なく返事をすると、どことなく得意げなオーラさんの雰囲気が一変し「分かってない、こいつ」的なニュアンスが神経に流し込まれているような気がする。
今回は気のせいではないと思う。
ほら、今まさに、背中のコネクタあたりが、どことなくムズムズしているのだから。
そんな、データリンクにノイズが乗ったようなムズムズ感を気にしながらも、ただっ広いドックで、AIオーラからNEOCOMとやらの手ほどきを受ける。
いや、ドックがただっ広いのではなく、この船が小さいのだということは、入港までにすれ違った多くの船を見ていたのでなんとなく分かっていた。
いずれ大きな船に乗り換える時が来るのだろう。
そんな未来を一旦脇に置き、せっかくネットワークに繋がったのだ。気になるデータをいくつか転送しておこう。
さらにシステムを触れば、依頼、売買、船のメンテ。何から何までが、NEOCOM上で完結することが分かる。
なるほど、これは便利だ。
船から降りずに生きていけそうな気さえする。
などと考えていると、再びオーラさんから漏れ出てくる何処か得意げな雰囲気。
彼女はAI故に、もしかしたらその類縁たるテクノロジー的なものを褒められると喜ぶのかもしれない。
大丈夫。私は学習する男だ。
今度は間違えるまい。
『すごい、素晴らしい、感謝してます』
若干ドヤってそう言ったら、凄まじい手際で出港させられ、問答無用で次の戦場に送り込まれた。
なんで?
***
カプセラとしての権能。
船を、己の体同然に扱う本能めいた感覚。
これが失われていない以上、サーカディアン・シーカーとやらに脅威は感じない。
今の私の仮初の体、コルベット艦[インパロール]が、かろうじて戦闘艦と呼べる最低ラインの船であったとしても、だ。
さあ、気味の悪い虫野郎な機械を残骸へと変えて、私はこの背後にあるであろう己の記憶に近づくのだ。
あっはい。。。
いつだってそうだ。夢を語るのは男で、女は冷静に現実を見据える。
――女? そういえば、オーラさんって、女子?
え、メタルスクラップ?
知ってる、いや、ちょっとまって、知ってるって。強制的に情報を注入しないで。拾うから、拾ってちゃんと売るから。
オーラさんから漂う「お前もスクラップにしてやるぞ」的な雰囲気に怯えながら、私はその後も、正体不明の敵を倒し続ける。
もちろん、メタルスクラップはすべからく、もれなく、そして可能な限り迅速に拾う。
しかしながら、この一連の騒動は、この世界ニューエデンではひどく「ありふれたもの」であったと知るのは、すべての敵を退け、カプセルに転送したデータに目を通してからだった
それはドリフターに関する少し古いニュースの一覧。
要約すれば、ジョビ人の血を引くドリフターと、その偵察ドローンであるサーカディアンシーカーは、このニューエデンにおいて徐々にその脅威度を増しているとのことだ。
そうか、お前らにも、ある程度明確な出自があり、この世界にしっかりと根を張っているのか。
アマー前皇帝崩御の記事によって締めくくられたそれらのデータを視界の隅に追いやって、私は意識の内側でため息をつく。
まぁいい。『異世界転生」だ。
そして私は、テンプレな記憶喪失なのだ。
それも、そう悪くはない。
いや、マイペースですね、オーラさん。
その空気の読まなさっぷり――、いえ、高度に空気を読みまくった結果の行動に痺れて憧れます。
私も常々疑問なので、できればその「いままで」というやつを教えていただきたく――
――って、オーラさんがデレた!?
もしかして、さっきのセリフも、実は慰めてくれていたのだろうか?
本当に高度に空気を読みまくった結果だったのだろうか?
そう考えたとき、私の脳裏に落雷のごとく天啓が駆け落ちる。
異世界転生。
そのテンプレたる「ボーイ・ミーツ・ガール」。
それは、私が私として目覚めたあの瞬間から、すでに成り立っていたのではなかろうか、と。
で、あれば。
私はこれからオーラさんと一緒に追放されて俺tueeeで成り上がりなスローライフを……
あれぇ?
***
AIオーラの気配が消え、残されたのは、むさいおっさんたちが並ぶエージェントリストだった。
あれから――。
おっさん達のミッション、はなんとなく後回しにして、私は女子(だよね?)からの仕事を少しずつ受け始めたのだが、再びAIオーラの気配が現れることはなかった。
時折お仲間のような存在が情報をくれることがあるが、なんというか、オーラに比べると、圧倒的に存在感が薄いのだ。
思い起こすのは、オーラの別れ際のセリフ。
最後にオーラ、いや、彼女は我々のことを「炭素系生命」と表現した。
それは、明らかに「炭素系ではない生命」を前提とした呼称。
異世界転生――。
最初のボーイ・ミーツ・ガールは、私が気づかなかっただけで、私が彼女に起こされた瞬間から、ずっと成り立っていたのだ。
それと同じように、私の記憶を知る者も、サーカディアン・シーカーの向こう側なんかにはいなくて。
あの日、あの時あの瞬間、同じようにあの場所にいたのかもしれない。
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