EVE ONLINE プレイ日記22_BOY MEETS...
こ、この依頼は!?
マグニートの居室で「合成コーヒー」を啜りながらのんびりとエージェントの依頼を眺めていた私は、その内容に戦慄する。
き、来た!
ついに来た! 異世界転生テンプレ、ボーイ・ミーツ・ガールがっ!!
一言に要約すれば、それは「囚われし姫の救出」。
私は心の中で快哉を上げると、なんとも不思議な、あと引く香りのする合成コーヒーを一気に飲み干す。
事は一刻を争う。
救出までに長引けば長引くほど、姫君の苦悩はかさむのだ。急げ!
慌てて身だしなみを整え、整えたあとで、私、どのみちずぶ濡れでカプセルの中じゃん、と気づき、ややテンションを下げながらも「今流行りの桜色アレンジ」にペイントされたカプセルへと乗り込む。
カラフルなカプセルって、なんか「勝負下着」みたいだな、と益体もないことを考えながら水没。
マグニートから「己」を切り離し、ドラグーンへとドッキングする。
ふははははっ!
マグニートと比して、一回り、「己」が大きくなる。
「己」の「格」が上がった、そんな錯覚と、「駆逐」するためだけに存在する新たな己の「依代」の、心地よい暴力性にしばし心を委ねる。
しかし、それは仮初め。
仮面。ペルソナ。無限個の中の1個。船も、そして、己のクローンボディすらも。
それを、わきまえてこそのカプセラ。
「私」はここに在り、そして同時にここではないどこかに在り、薄く、広く、宇宙を俯瞰する。
出航許可だ。
吹かせ、スラスター。全力で!
「BOY MEETS GIRL!! ひゃっはーっ!!」
私はそのまま、囚われの姫の待つ座標に向けて、ワープドライブを行うのだった。
***
レベル2に分類されるセキュリティーミッション。
新米と中堅、その間くらいのカプセラに振り分けられる、やや高難度のミッションだ。
適正艦は「駆逐艦」より一回り強固な「巡洋艦」と言われている。
「それがどうしたーっ!!」
しかし、それをふまえてのツインリペア構成。
警備に雇われたのであろうエリート傭兵たちからミサイルがガンガン放たれ、シールドが全損し、アラートが鳴り響き、爆風がアーマーを直に抉る。焼けただれ、溶け落ちてゆく装甲は、送り込まれた2倍の分子アセンブラによって即座に再構築されていく。
そして、すべての敵対艦を排除し、囚われの姫へと手が届く。
自由を妨げる牢獄を破壊し、放たれた脱出用コンテナを回収。
ついに。
カプセルの厚い合金とモニタ越しではあるが、麗しの姫君と、感動の対面だ。
「もう、大丈夫ですよ」
私は極めて紳士的な声をイメージし、己が胎内たる艦内に流し、コンテナから現れた存在に……。
(あれ? 随分と重厚なお姫ーー)
ムキィ(ポーズ)ッ!
ニコォ(白い歯)ッ!!
盛り上がる筋肉 。
オイルにテカるマッチョなボディー 。
……………
………
…
宇宙空間に、声なき絶叫が響き渡ったとか、渡らなかったとか。
脱出コンテナは2つあったらしい。
らしいというのは、私があまりの衝撃に呆然自失となっていたため、記憶が定かではないからだ。
エージェントによれば、私は極めて紳士的にダムセル嬢をステーションへと送り届け、肉親をはじめとする関係者は大いに感謝をしたとのこと。
ウォレットを見れば、確かに依頼料も満額振り込まれていた。
「はぁ」
マグニートの自室で、癖になってきた合成コーヒーを啜り、熱を持ったため息をついてソファーに埋もれる。
確率は 1/2 だったのだ。
先にダムセル嬢を引いていれば、私も警戒して次のコンテナにあたったことだろう。
クローンボディはマッスル兄貴の夢を見るか?
そして寝不足になるのだから笑えない冗談だ。軽いPTSDかもしれない。
「もう筋肉は結構です。。。」
眠い目をこすりながら、コンテナ 1/2 の選択でマッチョ×10 を私に選ばせた運命の女神に、私は控えめに苦情を申し上げるのであった。
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ダムセル嬢を救出するのは4回目くらいでしょうか。ピーチ姫よろしく、助けても助けても、囚われてしまう薄幸の少女です。
多分、さらわれて、ストラクチャを爆散させて助けられるスリルが癖になってしまったのだと推察します。
さて、コンテナは、もれなく2つ出るようです。
海兵とか、観光客とか、多様な方々がついてきます。兄貴がついてきたのは初めてだったので大爆笑でした。
ちなみに、ミッションでダムセル嬢は回収されますが、もれなくついてきた方々は手元に残ります。兄貴も。
はい。用途が謎で、地味に困っています。。。
CCP様、ぜひ「帰宅/住んでいた星系に配達する」的なコマンド/ミッションを用意してはいただけませんでしょうか。
(マーケットで売却、あるいは廃棄は、精神的ハードルが高いのです。。。)